肝がんとともに

肝がんの治療を受けた方へ

肝がん治療後の生活について

■食事のとり方について

 肝がんの手術を受けた後、3日ほどで食事開始となります。小範囲の肝切除であれば、肝機能の回復は早く、特に栄養管理に注意することはありません。一方、胆道再建が必要な手術や、切除範囲が大きかった場合には、消化管の機能低下や脂肪の吸収障害により、口から食事がとれるようになるまで、より時間がかかることもあります。

 切り取った肝臓の再生を進めるには、口から食事をとることが大切です。点滴による栄養補給では、どうしても摂取する水分量が多くなり、体内に水分が貯留してしまいがちです。また、肝硬変などを合併している場合には、代謝機能が低下しているために、高血糖状態を来す恐れもあります。消化管の正常な活動を促すため、点滴と併用しながら、少しずつ口から食事をとるようにしましょう。

 退院後も、肝機能が正常な場合には、特に食生活に制限はありません。肝臓の機能回復には、ビタミンやミネラルをはじめとする十分な栄養補給が必要です。とはいっても、脂肪分のとりすぎは脂肪肝を助長するため、バランスのとれた食生活を心がけてください。

 手術前にもともと肝硬変があれば、低下したグリコーゲン貯蔵能力を補うために、十分なタンパク質や脂肪の摂取を心がけるよう、さらには、夜食をとったり就寝前に栄養剤を飲んだりするよう生活指導を受けているかもしれません。また、C型慢性肝炎では、鉄分の蓄積による症状悪化が明らかになっています。肝がんの治療後に摂取を控える、もしくは積極的にとった方がよい食べ物があるかどうか、医師や栄養士に相談してみるのもよいでしょう。

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■嗜好品との付き合い方

 もしも肝機能が正常であれば、禁酒は必要ありません。もちろん、適切な量の飲酒を心がけることが大切です。特に、日本人はアルコールを分解する酵素の働きが弱い人が多いので、毎日の飲酒はあまり勧められません。さらに、アルコールを分解するために、肝臓は多くの栄養を使います。お酒を飲むときには、同時にきちんとタンパク質やビタミンをとるようにしましょう。

 慢性肝炎の患者では、酒を飲むことで肝機能がさらに悪化してしまい、肝硬変や肝がんへと進展する可能性があるとの報告があります。このため、病態を悪化させないためにも、禁酒が勧められます。

 また最近、肝がんとコーヒーとの関係が注目されています。以前から、慢性肝炎や肝硬変に関連する酵素の濃度がコーヒーを飲むことで低下することが知られていましたが、2007年5月、スウェーデンの研究グループが、複数の研究結果の解析から、毎日2杯のコーヒーを飲んでいる人では肝がんの発症リスクが約4割減少すると報告したことで、一気に注目度が高まりました。

 この研究は、健康な人と肝がんの患者を対象に、コーヒーの摂取量と肝がんの発症リスクを解析したものでした。肝炎ウイルスへの感染など、肝がんに関連する既往歴がない場合には、コーヒーを毎日2杯飲んでいると、飲んでいない人に比べて肝がんの発症リスクが約3割低下していました。肝がんに関連する既往歴がある場合には、コーヒーを毎日2杯飲むことで、肝がんの発症リスクは44%とさらに大きく減少しました。

 さらに同年7月には、日本の研究グループが、約3万人を対象とした追跡研究で、毎日2杯以上のコーヒーを飲んでいると、肝がんによる死亡リスクが約7割も減少することを明らかにしました。ただし、肝硬変の患者は胃炎を合併していることが多く、肝機能の低下によってカフェインの代謝が遅くなるなどという問題もあります。コーヒーに肝がん予防の可能性があるとはいっても、無理してコーヒーを飲むと、逆に身体に悪い影響が出る恐れがありますので、注意してください。

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