肝がんとともに

化学療法について

手足症候群・高血圧

 手足症候群とは、手のひらや足の裏に発赤や痛み、しびれ、腫れ、水疱などができる皮膚症状のことです。足の裏は、普段なかなかじっくりと見る機会がないかもしれませんが、体重を支える、つまり圧力がかかりやすく、手足症候群が出やすい部位です。近年承認された分子標的薬の多くで見られる副作用ですが、適切に対処すれば症状を抑えられることも明らかになっています。

 そのため、手足症候群の兆候が見られたら担当医師に相談し、早期に対処することが大切です。手足症候群が見られた場合、外用ステロイド薬や減薬や休薬を中心とした治療が行われます。重篤になると痛みや腫れなどで歩くことが辛くなったり、ものをつかむことが難しくなったりすることがあるので、繰り返しますが、早期の対処が重要です。

 初めて手足症候群の症状を体験するとびっくりすることが多いようですが、薬剤を中止して1週間程度で皮膚が生まれ変わって良くなることが多いようです。

 症状が軽症のうちは適切な処置を行うことで治療を継続することが可能です。症状を見逃さないように定期的に手足を観察してみるとともに、決して我慢せず、症状が認められたら、医師や看護師などにすぐに相談するとよいでしょう。

●保湿クリームを塗る習慣を

 また、日常生活を工夫することによって手足症候群が出にくくすることも大切です。予防するためには、できるだけ保湿クリームを塗ったり、手袋や厚手の靴下を着用したりして皮膚の乾燥を防ぐことが必要です。また皮膚への強い刺激によって手足症候群が出やすくなるため、熱いお湯に入浴したり長時間立ち続けたりといった刺激を手や足に与えないようにして、手や足が角化したり角質が厚くなってしまうことを防ぐことが大切です。

 保湿は有効な手足症候群の予防法です。これまで手洗いや就寝前などに保湿クリームを塗るという習慣を経験したことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、朝の洗面後やお手洗い後、入浴後など、1日2〜5回程度、積極的に保湿クリームを塗ると良いでしょう。就寝時には保湿をした後、木綿の手袋や靴下をはいて寝るとよいとされています。

 また、革靴やハイヒール、健康サンダルなどは、靴底が堅かったり、つま先やかかとに強い圧力がかかったりすることから、手足症候群を引き起こす原因になりやすいと考えられています。足にフィットする、柔らかい中敷きが入った靴などを選ぶと良いでしょう。室内ではスリッパを履くと良いでしょう。

 また、長時間の歩行やジョギングなどは足に過度の刺激を与えるため、控えたほうが良いでしょう。

 手については、重い荷物を持つこと、庭仕事など、手に圧力がかかることは控えた方が良いでしょう。

 日本におけるソラフェニブの市販後の調査(中間解析)では、投与された患者さんの半数近くで手足症候群が認められました。ソラフェニブの臨床試験であるSHARP試験における手足症候群の発現頻度に比べて高い傾向です。ソラフェニブの使用経験を重ねることで、医療者も患者さん自身も、手足症候群に気がつきやすくなった(手足症候群が副作用であることの理解が進んだ)ことも発現頻度が高いことにつながっている可能性もありますが、人種差により、日本人においては手足症候群が発生しやすい可能性もあるので、先述したとおり、治療開始と同時に積極的な保湿を行っていくことが大切です。

 さらには、ソラフェニブの市販後調査(中間解析)によると、日本において、副作用でソラフェニブの投与を中止した症例には手足症候群が理由だった方が少なからずいました。こうしたことからも、手足症候群のように重篤になることを予防できる副作用は積極的に対処していくことが大切なのです。

●血圧を測定する習慣を

 血管新生阻害作用を持つ分子標的薬は、さまざまながんを対象に使用可能になっていますが、こうした血管新生阻害薬の特徴的な副作用の1つとして高血圧があります。同様に血管新生阻害作用を持つソラフェニブにも副作用として高血圧があります。高血圧は、放置すると脳卒中や心筋梗塞にもつながってしまうため、注意が必要です。

 高血圧になっても、降圧薬を服用することで高血圧を管理することができ、血圧が安定すれば治療を継続することが出来ます。

 そのためにも、治療を開始したら、血圧を測定することが大切です。最近は、自宅でも血圧を測定できるさまざまな測定器が発売されていますので、こうした測定器を使って定期的に測定し、その結果をメモしておくと血圧の変化が分かります。高血圧の基準である140/90mmHg(自宅での測定では135/85mmHg)を超えたら主治医と相談しましょう。まれに血圧が比較的短期間で上昇して(血圧の最低値が120〜130mmHg程度に上昇する)、めまいや頭痛などが起こることがあると報告されています。その際には、すぐに主治医もしくは医療機関に連絡し、指示を受けることが大切です。

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