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第46回日本糖尿病学会近畿地方会 ランチョンセミナー
国立京都国際会館

 近年行われた糖尿病の実態調査では、糖尿病および糖尿病予備軍の患者は年々増加しており、糖尿病人口の増加は一向に歯止めがかかっていないのが実情である。こうした状況をふまえると、合併症の発症・進展の阻止に力を注ぐ必要性がいっそう強まっている。2009年11月3日に京都国際会館で開催された第46回日本糖尿病学会近畿地方会のランチョンセミナーにおいて、名古屋大学の中村二郎氏は早期からの厳格な血糖コントロールの重要性を明らかにしたうえで、SU薬を中心とした経口血糖降下薬による薬物療法の実際、さらにインスリン療法の新しい展開について解説した。座長は、大阪大学の船橋徹氏が務めた。

演者:名古屋大学 大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科学 准教授 中村 二郎氏
座長:大阪大学 大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学 病院教授 船橋 徹氏

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合併症発症抑制の鍵は早期に厳格な血糖コントロールを開始すること

 糖尿病の治療においては、合併症の発症・進展の阻止が重要である。これまでに1型糖尿病を対象としたDCCT(Diabetes Control and Complications Trial)1)、2型糖尿病を対象としたKumamoto Study2)やUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)、さらにはEDIC(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)Study3)などの前向き研究が行われ、厳格な血糖コントロールの維持により合併症の発症・進展が抑制可能であることが明らかになった。
 なかでもEDIC Study、UKPDSの10年後のフォローアップ成績であるUKPDS 804)において、発症後早期に血糖値を低く保つ努力が長期にわたって血管に記憶され、最終的に細小血管障害のみならず大血管障害の発症抑制にも有効であることが示された点は意義が大きい。これらの研究は、血管が高血糖に曝露されている状態を記憶してしまうため、合併症を抑えるためには高血糖が記憶されないよう、できるだけ早く高血糖を解除することの重要性を示唆している。このような概念をEDIC Studyでは“Metabolic Memory”、UKPDS 80では“Legacy Effect”と表現している。これらの成績をふまえて中村氏は「できるだけ早期に厳格な血糖コントロールを開始することが重要で、それが合併症の発症抑制につながる重要な鍵である」と指摘した。

第3世代SU薬のグリメピリドは安定したインスリン分泌能を維持

 良好な血糖コントロールを維持するためには、多くの場合、食事・運動療法とともに適切な薬物療法が必要となる。経口血糖降下薬の歴史をふり返ると、1950年代にSU薬、60年代にビグアナイド薬が登場し、90年代以降からはα-グルコシダーゼ阻害薬やインスリン抵抗性改善薬、速効型インスリン分泌促進薬、さらには第3世代のSU薬としてグリメピリド(アマリール®)が登場した。最近ではGLP-1アナログやDDP-W阻害薬が開発されている。このように作用機序の異なるさまざまな薬剤が使えるようになった現在、これらの薬剤をいかにうまく使いこなしていくかが重要な課題となっている。
 SU薬はわが国でもっとも多く使用されている経口血糖降下薬であるが、その種類により作用に違いがあることも理解しておく必要がある。
 犬飼らは、SU薬内服歴のない2型糖尿病患者(HbA1c 8.5%以上)67例を対象に、グリベンクラミドとグリメピリドを5年間単独投与し、血糖コントロール状況やインスリン抵抗性およびインスリン分泌能について比較検討している。その成績によると、グリメピリド群では投与後1年以内にHbA1cが7.0%以下に低下し、以降5年間にわたりグリベンクラミド群に比べ良好な血糖コントロールが維持された(図1)。また、SU薬の投与に際し体重増加がしばしば問題となるが、グリメピリド群では体重増加は見られず、グリベンクラミド群に比べBMIが低値で推移した。さらに、グリメピリド群ではインスリン抵抗性の改善も認められ、かつ5年間を通して安定したインスリン分泌が保たれていることも明らかとなった。
 中村氏は、「SU薬に関しては、使用に伴いβ細胞の疲弊を招くとの指摘があるが、グリメピリドについてはそのような懸念をする必要は少ないと考える」と述べた。また、同氏は、SU薬のSU受容体との結合・解離速度を検討したMüllerらによるin vitroの実験結果5)を紹介し、「SU受容体との結合速度、解離速度とも、グリメピリドはグリベンクラミドに比べて速い。このような作用特性も、グリメピリドによるβ細胞への負担が少ないことを裏付けている」と述べた。

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