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脳卒中治療ガイドライン2009
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欧米のガイドラインからみた脳梗塞二次予防における抗血小板療法
脳梗塞二次予防における抗血小板療法の有用性は確立しているが、有効性、安全性のさらなる改善が求められるなかで、初期治療での適正な薬剤選択、治療強化を可能にする併用療法の方法が模索されている。そこでこれらの問題に主要な欧米の脳卒中予防ガイドラインがどのような解答を提示しているかを概観しつつ、日本の状況を踏まえた抗血小板薬の選択と使い方をテーマに、専門家の3氏に討論していただいた。
東京女子医科大学 神経内科 主任教授 内山真一郎先生 岩手医科大学 内科学講座 神経内科・老年科分野 教授 寺山 靖夫先生 長崎大学 脳神経外科 教授 永田 泉先生

欧米のガイドラインにおける抗血小板薬の評価

抗血小板薬の作用機序

内山現在日本で脳卒中の再発予防に使用されている抗血小板薬はアスピリン、チクロピジン、シロスタゾール、クロピドグレルの4剤です。ジピリダモールはまだ適応が承認されていませんが、アスピリンと徐放性ジピリダモールの合剤の臨床試験が進行中であり、その結果が待たれるところであります。抗血小板薬のなかで最も古く、高頻度に使用されてきたのはアスピリンです。さらなる有効性と安全性の改善をめざし、他の抗血小板薬が開発され、また複数薬による併用療法の検討が行われてきました。4剤のうちチクロピジンについては重篤な肝障害、顆粒球減少症、血栓性血小板減少性紫斑病の発生が報告されています。同じチエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルは脳梗塞患者を対象にした国内第Ⅲ相試験において、有効性の主要評価項目はチクロピジンと同等であり(P=0.948、Log Rank検定)、安全性の主要評価項目はチクロピジンに比べ有意に低いこと(P<0.001、Log Rank検定)が報告されました。アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールなどの抗血小板薬の作用機序を図1に示します。

 これらの薬剤をどのように用いるかですが、欧米の脳卒中予防ガイドラインに目を向けると、米国では2008年に米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)が抗血小板療法に関する勧告を改訂しました(表1)。アスピリン、クロピドグレルにそれぞれ単独という表記を加えたこと、また、初期治療薬選択に関する勧告のエビデンスレベルがクラスⅡaからクラスⅠへと上昇したことが新しいといえます。また、アスピリン・徐放性ジピリダモール併用とアスピリン単独については、前者を積極的に推奨する記述が追加されました。

 一方、欧州でも同じ年に欧州脳卒中機構(ESO)が新しいガイドラインを発表しました。それをみるとAHA/ASAのガイドラインとは少し異なり、それぞれの抗血小板薬に関して異なった記載となっております(表2)。同ガイドラインでは、クロピドグレル単剤もしくはジピリダモールとアスピリンの併用療法を「Should be given」、すなわち「投与すべきである」と記載しています。
 最初に、これら2つのガイドラインの抗血小板療法に関する記載について、両先生のご意見をお聞かせください。


寺山アスピリン、クロピドグレルに「単独」という語が追加された背景には、欧米で併用療法が一般化していることがあります。国内をみると、脳卒中ではまだそれほどでもありませんが、心臓の領域では複数薬併用が盛んに行われています。そういう状況を踏まえて虚血性脳血管障害の再発予防に関して、単独投与を明示したのは適切だと思います。

永田私たち脳神経外科医は抗血小板療法をしっかり行うべきだと考えていますが、開業医の先生はどうしても副作用が気にかかるようで、使うべき薬を使わない方もおられます。たとえば、患者さんにチクロピジンを処方して開業医の先生にお返ししても、他剤に変更される場合があります。そういうこともあるので、最近出てきたPRoFESS試験の結果からも、ガイドラインにおいてクロピドグレルの安全性はもっと強調されてもよかったのではないか、という気がします。ESOガイドラインの記載に関しては、これまでのエビデンスを考えて妥当な記載でないでしょうか。

★アスピリン+徐放性ジピリダモールの合剤は本邦未承認、ジピリダモールは適応外です。

AHA/ASA『脳卒中および一過性脳虚血発作患者に対する脳卒中予防関する推奨事項』 ESO『脳梗塞および一過性脳虚血発作患者の管理に関するガイドライン2008』

 
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