沖縄愛楽園の臨終検査技師長である渡邊氏は,Cachéによる検査システムを導入する以前に検査科が利用していたシステムの課題を次のように振り返る。
「以前のシステムでは,検査オーダーと薬剤処方システムは別々の独立システムで,検査オーダーと薬剤処方を行うときはそれぞれのモニターを見て操作しなければなりませんでした。そうした利便性の悪さに医師は不満をもらしていました。また,レスポンスにも問題があり,使用ユーザの増加や,検査データが増えるほど処理が遅くなるので,検査科で集めた症例を分析するのも困難でした。こうした課題を解決できないかと調べていくうちに,Cachéという高速なデータベースと出会い,世界的な医療分野での実績や,宮崎大学などでの先進的な事例を知り,これならいけると,興味が確信となりました」
同園の検査科では,病理細胞診や細菌検査などのシステムが混在していた。データの形式もそれぞれ異なり,同科でレポート作成などで運用していたシステムにデータを取り込むことが困難で,診療側でもデータを閲覧できないという状態に陥っていた。レスポンスの大きな問題に加え,データの活用という問題を解決するシステムを探していたところ,インターシステムズ社のCachéとEnsembleを探しあてた。そして,同社の技術でのシステム開発に精通していたデータキューブ(本社:北九州,URL:http://www.datacube.co.jp/)という開発会社の存在を知る。
データキューブ社は1997年の創業で,少数精鋭主義のもと医療系に特化したシステム開発を得意とし,システム開発を超えたトータルな活動を続けている。代表取締役の小畑恭弘氏は,自社の取り組みと実績について以下のように説明する。
「当社は,長年にわたり医療情報システムをお客様と協力しながら開発してきました。当社の目的は,使いやすくお客様の実務に合ったシステムの開発です。そのために,新しい製品や考え方,テクノロジーを取り入れ,常にお客様とともにベストな病院情報システムを作り上げてきました。渡邊技師長から問い合わせをいただいたときも,当社なら希望する検査システムを開発できると確信して入札に参加しました」
検査システムの競争入札では,最終的に検査システムとオーダリングシステムまでを含めて提案したデータキューブ社が採用された。ただし,最終決定までに時間を要したため,開発に費やせる期間はわずか数ヵ月であった。その短期間で,検査科が利用する検査システムと,診療側で利用するオーダリングシステムを開発しなければならなかった。
「実質的な開発期間は,2006年末の落札から2月末までの約2ヵ月でした。3月にはデータの移行や動作試験などを行い,2007年の4月1日から本稼働を開始しました」と小畑氏は振り返る。
短期間での開発だったが,完成したシステムは,既存のハードウェアを利用してデータを一元管理し,高速検索ができるといった検査科の希望をすべて満たした内容になった。検査科の遠藤周作氏は,そのシステムを次のように評価する。
「Cachéの検索スピードとプログラミング更新スピードが旧システムに比べて段違いに速いので驚きました。検査室では,毎日患者さんのデータを蓄積していくので,膨大なデータを管理・運用しています。そして,必要なときに診療側に時系列データを送り診療の経過を確認してもらうのですが,これまではデータが何十年にも及ぶデータの検索には時間がかかり,閲覧するまでにはかなり待たなければなりませんでした。それが,Cachéによる新システムに変更してからは,ストレスのないスピードで検索できるようになり,効率的に作業が行えます」
新システムでは,新しい検査方法の対応や項目追加なども検査科で簡単に行えるようになったほか,入力補助機能の付加や,柔軟な検索も可能となり,利便性も大いに向上しているという。
国立療養所 沖縄愛楽園では,今後も検査科のみならず,あらゆる診療業務の利便性や効率化を図るとともに,セキュリティにも配慮しながら診療システムの電子化と統合化に取り組んでいく考えだ。また,沖縄に営業所を構えたデータキューブ社も,沖縄愛楽園をはじめとして沖縄県の医療機関が求める医療システムをCachéにより開発していく。






