超高齢社会を迎えた日本が抱える課題に「患者さんにやさしい」をキーワードにソリューションを提供

GEヘルスケア・ジャパン創立30周年シンポジウム「医療のメイドインジャパンへの展望を探る」

2012年10月23日、「healthymagination day 2012: Building Japan Model Together」が東京国際フォーラムで開催されました。John Dineen GEヘルスケア プレジデント兼CEOによる開会の挨拶、三村申吾青森県知事、加藤益弘アストラゼネカ会長の基調講演の後、5人のプライマリ・ケアの医師によるパネルディスカッションが行われました。医療の現状と課題、超高齢社会における新しいモデル構築の必要性、具体的な取り組みやソリューションなどについて、幅広い意見が交換され、提言がなされました。シンポジウムには医療関係者、報道関係者に加え、医学生も多数参加し、活発な質疑応答が行われました。

開会挨拶 John Dineen GEヘルスケア プレジデント兼CEO

John Dineen GEヘルスケア プレジデント兼CEO
John Dineen
GEヘルスケア プレジデント兼CEO

healthymagination(ヘルシーマジネーション)とは世界が直面する困難な課題に革新的なソリューションで挑戦していくというものです。日本においては超高齢社会が大きな課題の一つですが、このことを成長の機会と捉え、SilverをGoldに、輝く未来に変えていくという戦略がSilver to Goldです。具体的なソリューションとして、肝炎やアルツハイマー病のような慢性疾患への取り組み、総合医療や在宅医療などの充実、ヘルスケアITによる高効率で生産性の高い仕組みづくりを行っています。GEヘルスケアは現在日本円にして約1.5兆円の事業規模ですが、世界で最も洗練された医療システムのある日本は、その中で大変重要な役割を担っています。私は、世界の医療をリードしていく日本の大きな可能性を信じています。超高齢社会という課題を機会に変えていこう、というビジョンは各セクターの皆さんが共に考え、計画し、実行していかなければ現実のものにはなりません。そのため本日も医療関係者の皆さん、報道関係の方々、そしてこれからの医療を支えていかれる医学生の皆さんにもご参加をいただいています。これから生まれる思想や提言が今後の具体的なアクションに繋がっていくことを心から期待しています。

基調講演1 三村申吾 青森県知事「青森から世界へ〜次世代のヘルスケア地域モデルを目指して〜」

三村申吾 青森県知事
三村申吾
青森県知事

青森県は少子高齢化が急激に進むなど、社会問題のいわば課題先進地域になっています。深刻な医師不足も大きな課題です。一人一人の住民に保健・医療・福祉の3つの光を確実に当てることで課題を解決し、さらにビジネスチャンスへとつなげていくために「青森ライフイノベーション戦略」をとりまとめました。具体的には医工連携、サービス、プロダクトを重点戦略プロジェクトと位置づけ、産官学が緊密に連携することでイノベーションに向けた戦略的プラットフォームを構築します。またGEヘルスケア・ジャパンとの協力によって具体的なプロジェクトを展開。その一つがヘルスプロモーションカー(小型ドクターカー)の実証実験です。地域特性に合わせて、どういうハード、ソフト、あるいはシステムが必要になるかということを研究開発していきます。こうした取り組みによって生まれたモデルを青森発のイノベーションとして世界に発信していきたいと考えています。

基調講演2 加藤益弘アストラゼネカ株式会社代表取締役会長「医療イノベーションをどう進めるべきか:医学の進歩を医療の現場へ」

加藤益弘アストラゼネカ株式会社代表取締役会長
加藤益弘
アストラゼネカ株式会社代表取締役会長

医薬品は医療、社会に大きく貢献してきましたが、循環器系、糖尿病、がん、COPDなどのNCDs(Non Communicable Diseases:非感染性疾患)や稀少・難病疾患などアンメット医療ニーズはまだまだ残っています。製薬会社はこうしたニーズに応えるため創薬を行っていますが、研究開発費の高騰、研究開発の方法などの理由により、新薬開発の効率は改善されていません。欧州においては官民パートナーシップによるIMI(Innovative Medicines Initiative)によって医薬品開発におけるイノベーションが促進されています。日本の創薬を促進するためには、すべての関係者の意識改革が望まれます。新しい形の「産官学共同モデル」を創り上げ、創薬を進める普遍的な施策やツールの開発を目指すこと、さらには単一司令塔の確立と欧米と競合できる国家予算配分が必要です。日本発の創薬を世界に届けたい、健全な高齢化社会を支え、日本の生産性・国力の向上を図りたい。創薬イノベーションが日本の未来を切り開くことを強く望んでやみません。

パネルディスカッション「医療がより患者さんに近づく 〜プライマリ・ケアへの期待と展望」

川上 潤 GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOがファシリテーターをつとめた実際の医療現場で活躍を続ける5人の医師によるパネルディスカッション。プライマリ・ケアの現状と課題、救急医療の現状、医学教育におけるイノベーションの必要性、在宅医療における新しいモデル、死生観を持つ大切さなどについて議論されました。多様な角度からの意見によって「医療が患者に近づく」新しい日本の医療モデル構築への示唆が得られました。

草場鉄周 (北海道家庭医療学センター理事長/日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)

草場鉄周
(北海道家庭医療学センター理事長/
日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)

プライマリ・ケアにおける3つのポイントについて。1点目はいかにプライマリ・ケアの診療の質を高く維持していくか。2点目は個別ケア。患者さん一人ひとりに合わせた医療をいかにして提供できるか。そして、3点目は地域ニーズにきちんと応えられるプライマリ・ケアを提供していくということです。

阪本雄一郎 (佐賀大学付属病院教授 佐賀大学医学部付属病院 救命救急センター長)

阪本雄一郎
(佐賀大学付属病院教授 佐賀大学医学部付属病院
救命救急センター長)

救急医療も地域によってニーズが全く違うため、地域ごとに最適のモデルをつくることが大切。そのためにも産官学の力を結集して、つくり上げていく。私たちはICTのしくみを活用して一定の成果を上げていますがそうした取り組みも必要。若い医師がドクターヘリやICTを活用した救急のしくみに参加してもらえるよう呼びかけることも重要です。

徳田安春 (水戸協同病院、筑波大学付属水戸地域医療教育センター教授)

徳田安春
(水戸協同病院、筑波大学付属水戸地域医療教育センター教授)

超高齢社会を乗り切るためにはイチローのような守備範囲の広いドクターを育てる必要があります。そのためには医学教育におけるイノベーションが不可欠。従来の講義重視のやり方ではなく、臨床重視の教育が必要です。臨床実習もこれまでの見学型ではなく診療参加型に変えていく。Webを用いることで大学の枠を越えた効率的な教育が可能になります。

林 恭弘 (祐ホームクリニック院長)

林 恭弘
(祐ホームクリニック院長)

2031年の日本の死亡者数は2011年の125万人から162万人に増えると言われています。また、重症度が高い患者さんが施設や自宅に帰ってきています。私たちはITや医療機器を活用し、医療資源を集中することでできるだけ多くの患者さんを診ようという試みを行っています。今後できるだけ早くきちんとした在宅医療のためのシステムづくりが必要です。

平方 眞 (愛和病院副院長)

平方 眞
(愛和病院副院長)

死亡者がさらに増える中、亡くなっていく方、その家族の方が人の命は終わるんだということを意識する必要があると思います。「見取りの文化」を根づかせること、そしてもし痛みがでたらスポットで緩和ケアチームが対応できるようなシステムをつくる。そうすることで「日本で最後まで過ごせてよかった」と思えるようにできるのではないでしょうか。

コンテンツ

  • healthymagination day 2012レビュー
  • 社長インタビュー
  • ケア・エリア
  • プライマリ・ケア
  • ヘルスケアIT

INDEX

  • 開会挨拶 John Dineen GEヘルスケア プレジデント兼CEO
  • 基調講演1 三村申吾 青森県知事
「青森から世界へ〜次世代のヘルスケア地域モデルを目指して〜」
  • 基調講演2 加藤益弘アストラゼネカ株式会社代表取締役会長「医療イノベーションをどう進めるべきか:医学の進歩を医療の現場へ」
  • パネルディスカッション
「医療がより患者さんに近づく 〜プライマリ・ケアへの期待と展望」