超高齢社会を迎えた日本が抱える課題に「患者さんにやさしい」をキーワードにソリューションを提供

ITによって医療機関、地域の連携を促進し「患者さん本位の医療」を実現する

高齢化による慢性疾患の増加に伴い、複数の医療機関、施設間の連携がより重要になってきた。特にデータのスムーズな交換と共有は医療の効率化を実現する上で欠かせない。ヘルスケアITはケア・エリア、プライマリ・ケアを横断的に結びつけ、クラウドをはじめとするテクノロジーを駆使してイノベーションを起こすことで、医療の最適化と患者さん本位の医療を実現していく。

ITによって医療におけるコスト、アクセス、クオリティを大幅に改善

大塚孝之
ヘルスケアIT本部
本部長

――ヘルスケアITが果たすべき役割とは?

従来の医療は急性期疾患へのケアが中心でした。しかし高齢化の進行とともに慢性疾患に対するケアが大きな割合を占めつつあります。慢性疾患はケアの必要な期間が長く、さまざまな医療機関を利用する機会が増えることから、医療機関の連携が重要になってきます。さまざまな医療機関や施設をつなぎ、連携を実現するためにITは欠かせません。今後も医療システムはなくてはならない社会インフラであり、このインフラを支え、効率化していくのがヘルスケアITの役割です。

「つなぐ」という機能に加えて「時間と空間を超えられること」もITの大きな特徴です。例えばITによって、医師同士のカンファレンスや診断を必ずしも病院で行わなくてもよくなります。患者さんも長い時間をかけて病院に通わなくてもよくなるかもしれません。このようにITは医療におけるコスト、アクセス、クオリティを大幅に改善する可能性を持っています。

GEヘルスケア・ジャパンでは、ケア・エリア、プライマリ・ケアを横断的に結びつける役割を担っています。今日、あらゆるヘルスケアのソリューションはITと無縁ではいられません。例えば、CTやMRIにおいても、ソフトウエアは重要な役割を果たしています。ヘルスケアITのメンバーはCTやMRIのチームと協力しながらソリューションを提供しています。また、プライマリ・ケアにおいて不可欠な病院間のデータ交換・共有も、私たちがサポートしています。

――GEヘルスケア・ジャパンがヘルスケアITに取り組む上での強みとは?

GEは世界規模のビジネスを展開しているため、国際標準の、あるいは国際標準になりうる技術やサービスをいち早く利用することができます。世界中のさまざまな国や地域で得られたノウハウや知識を活用しながら、日本で30年間、医療分野で活動してきた経験を活かし、日本のお客様の高いニーズに対応し、日本の医療を理解した提案や、ITベンダーにはできない、より医療の分野に踏み込んだ提案を行うことができます。

また、異なったシステム間でスムーズなデータ交換・共有を行うことにも積極的に取り組んでいます。1つは病院内に複数存在するシステムのデータを一元的に保管・共有できるようにすること。もう1つは病院間、地域間で異なるメーカーのシステム同士をつないでデータのやりとりをできるようにすること。こうしたメーカーやシステムの違いに縛られないオープンな環境づくりの技術にも優れています。

私たちは、日本国内に開発・製造・流通・サービスの拠点を持っています。そのため各部署と十分に情報を共有しながら、最適な形でITを活用した提案を行うことができます。

――医療機関連携の実例を教えてください。

高崎総合医療センター(群馬県高崎市)など西毛地区の公立7病院で救急患者の画像を共有する広域画像診断ネットワークの運用が2012年4月から始まりました。次のステップとして救急画像だけでなく、患者さんのさまざまなデータを病院で共有できる仕組みづくりを目指しています。GEヘルスケア・ジャパンも各病院が使用している異なったシステム間でのスムーズな情報交換・共有ができるようサポートさせていただいています。

――医療機関の連携を促進するソリューションとは?

私たちはソフトバンクテレコムと提携し、クラウドコンピューティング型の医療画像ホスティングサービス「医知の蔵」を提供しています。患者さんの画像データは、医師法の規定などから病院内で5年間保管することになっていますが、画像診断機器や技術の進歩によって1回の画像診断のデータ容量が飛躍的に増えたことから、保管のためのコスト増大が課題となっていました。2010年の法令改正によって画像データの民間事業者委託による院外保存が可能になったことを受け、クラウドを利用しデータセンターで画像データを保管するサービスを始めました。

システムは2層構造になっており、病院に置いた短期ストレージ(撮影後3〜5年)と外部の長期アーカイブから構成されています。短期ストレージでは院内の高速ネットワークを活用した迅速な読影・参照が可能です。長期アーカイブは院外のデータセンターにあり、しかもバックアップ用のセカンダリデータセンターも用意されているため、強固な災害対策が実現しました。クラウドコンピューティングを活用した医療画像のデータホスティング・サービス「医知の蔵」によって、画像データ保管のコストの大幅削減のほか、データの交換・共有が加速し、医療機関連携を促進するきっかけになると期待しています。

医療機関の連携を促進し患者さん本位の医療を目指す

――今後、提供予定のソリューションについて教えてください。

私たちが提供している「Centricity CDS」は手書きの紹介状、診療記録、同意書などをスキャニングし、電子保存できるソリューションです。DICOM、非DICOM画像を患者さんごとに一元管理することで、より効率的な患者さん情報の把握を可能にします。

データの交換と共有を実現する上で、標準化を行うことはとても重要です。私たちはマイクロソフトとのベンチャーとして「Caradigm(カラダイム)」という会社を設立し、より効率的なデータの交換・連携・活用の実現を目指しています。

――今後の医療社会においてヘルスケアITが果たす役割とは?

これまでの医療は、医療機関や医師が中心だったかもしれません。しかし今後は、ますます患者さん中心になっていくでしょう。自分がどのような医療を受けたいのか、どの病院に行くのかを患者さん自身が考え、選択する時代になっています。病院や医師まかせではなく、患者さんが自分の健康と命に責任を持つ時代です。こうした患者さん中心の医療を実現するためには、医療機関の連携が不可欠です。

検査によって得られた画像データとは誰のものなのでしょうか? 私たちは本来患者さんのものだと考えています。しかし実際には、例えばセカンドオピニオンを受けたいときに、患者さんがなかなか画像データを手に入れられないこともあるようです。患者さんがどこの医療機関からもすぐに必要な画像データが手に入れられるような仕組みづくり、データのスムーズな交換・共有の実現が必要です。医療機関や地域の連携を促進すること、患者さん本位の医療を実現すること。テクノロジーによって医療のあり方を変えていくことが、ヘルスケアITの大きな役割だと考えています。

コンテンツ

  • healthymagination day 2012レビュー
  • 社長インタビュー
  • ケア・エリア
  • プライマリ・ケア
  • ヘルスケアIT

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  • 医療機関の連携を促進し患者さん本位の医療を目指す