超高齢社会を迎えた日本が抱える課題に「患者さんにやさしい」をキーワードにソリューションを提供

「早期診断、早期介入」「患者さんにやさしい」をキーワードに医療社会を変革していく

高齢化に伴い重要度を増す疾患領域(ケア・エリア)においては、病気になりそうな兆候を見つけ、発症そのものを遅らせる、もしくは初期の段階で発見し治療する「早期診断、早期介入」が大切だ。それによって患者さんのQOLを高め、医療コストを抑制することができる。また非侵襲的な治療や快適性を考えた「患者さんにやさしい」というキーワードも重要。この2つのキーワードをもとに高齢化社会へのソリューションを提供し、日本の医療を変えていく。

肝臓疾患やアルツハイマー病など高齢化によって重要度を増す疾患領域に注力

――ケア・エリアにおいて重点的に取り組んでいる点は?

伊藤浩孝
マーケティング本部
マーケティング企画部長

大きなテーマは2つあります。1つはアーリー・ヘルス、「早期診断、早期介入」ということ。もう1つは「患者さんにやさしい」ということです。

まず、「早期診断、早期介入」。これまでは病気になってから治療するのが主流でしたが、これからは発症する前に兆候を見つけ発症しないようにするということです、病気を早く見つけ、早く治療する=アーリー・ヘルスを実現することは、患者さん本人のQOL(生活の質)を高め、医療コストを抑制する上で非常に重要です。

2つ目は「患者さんにやさしい」ということ。日本では低侵襲治療が浸透し、内視鏡による手術も多くなってきています。従来の外科手術では開胸、開腹によって実際に治療箇所を見ることができたのですが、内視鏡などによる手術では実際に直接見ることはできません。そこで治療の成功率を高めるため、例えばMRIと超音波の画像を組み合わせ、治療箇所をしっかりと把握することで精度を高めることが求められています。また、事前のシミュレーションだけでなく、術中のナビゲーションも重要です。

このような低侵襲治療を行う医師をサポートする技術に加えて、ペイシェント・コンフォート(患者さんの快適性)という点にも力を注いでいます。現在、CTやMRIなどの検査を受ける患者さんの7割以上が高齢者です。高齢者の場合、診断装置の検査台が高いと乗るだけで大変ですし、認知症の患者さんは検査時に動いてしまうことがあります。患者さんが容易に上がれる検査台や検査中に動いても画像を補正する技術により撮り直す必要がなくなるなど、患者さんにやさしく、技師の方々にとっても使いやすい機器の開発に取り組んでいます。それができるのも当社が開発・製造・流通・サービスのすべてを日本国内に持ち、患者さんや先生方の声を製品に反映できるからだと思います。

――特に注力しているケア・エリアは?

肝臓疾患とアルツハイマー病です。特に肝臓疾患はアジアに多く、GEの中でも日本は肝臓に関するCOE(Center of Excellence:中核的な役割を果たす拠点)として期待されています。その成果を中国や韓国などのアジア諸国、さらには欧州、米国などに発信することはとても価値のあることだと思っています。

現在は、肝臓がんに対するソリューションをしっかり提供していこうという姿勢で取り組んでいます。まずは早期発見。MRIは造影剤と組み合わせることで、非常に小さながんを見つけることができます。

治療に関しては超音波とMRIの画像を組み合わせ、治療箇所の的確な判断を可能にする技術や、RFA(ラジオ波焼灼療術)を行う際に穿刺方向をセンサーがガイドする技術、栄養血管を正しく同定することでTACE(肝動脈化学塞栓術)をガイダンスで支援するナビゲーションの技術などがあります。診断に関してはMRエラストグラフィ技術を使って非侵襲的に肝臓の硬さが測定できる製品を新たに発表するなど、さまざまなソリューションを用意しています。今後については、脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に着目し、線維化の度合いを測定し、抗線維化剤や抗NASH剤が使用されることが、将来的に期待されています。アルツハイマー病も高齢化に伴い患者数が増加しており、2010年の約200万人から2020年には325万人に増加すると予測されています。

アルツハイマー病も早期診断、早期介入が非常に大切と考えられています。発症の可能性を見極める上では、PET検査が期待されています。PET検査によって脳内のβアミロイドの蓄積を可視化することでβアミロイドの超早期検出を可能にします。βアミロイドが蓄積している場合は抗アミロイド剤を投与することが現在、米国を中心に研究され、早期に介入することで発症を遅延することができないか検証されています。これらは先制医療とも呼ばれて、大変期待されるアプローチです。当社はβアミロイド検出用の薬剤を世界中に供給するとともに、従来の薬剤の5倍以上長い半減期を持つフルテメタモール(18F-Flutemetamol)の開発を進めています。また、東北大学発ベンチャーのクリノ株式会社と、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積する「タウ」タンパク質の画像化を描出する診断薬の開発に向けて共同研究契約を締結し、タウ蓄積に基づく診断と抗タウ剤の開発につなげることを目指しています。

患者さんに、病院に、その地域に適切なソリューションを提供していく

――御社の中で、これまで日本から海外に発信したIJFG(In Japan For Global)の実例を教えてください。

日本チームにより開発されたCT装置が代表例です。64列の高機能を保ったまま省スペースと省エネを実現し、経営効率にもつながるということで世界のベストプラクティスになりました。日本以外の市場でも好評で、出荷台数も全世界で1000台を超えました。また、より小規模な病院や診療所のために開発したCTも好評を博しています。そして、より肝臓にフォーカスした超音波診断装置も、高機能、省スペース、微妙な調整を簡単に行える使いやすさから、高い評価をいただいています。

――ケア・エリアはプライマリ・ケアやヘルスケアITとはどのように連携していますか?

例えばプライマリ・ケアを行う診療所がPET検査を行うのは難しいと思います。そこでPET検査はどこで受けられるかという情報を提供したり、プライマリ・ケアに有用な機器類など具体的なソリューションに必要な情報提供も行うことができます。また、病院と病院、病院と診療所の連携を考えたとき、ヘルスケアITを使ってサポートすることが非常に重要です。私たちは1つ1つのソリューションを単独で提供するのではなく、その地域、診療所、病院に合ったソリューションや情報を、プライマリ・ケアやヘルスケアITの担当者と協力しながら提供しています。

――今後目指していく方向性を教えてください。

医療の質を上げるには診断と治療をセットで考える必要があります。これまで当社は画像診断が中心でしたが、今後は遺伝子診断や病理診断、さらにはコンパニオン診断薬を用いた最適な薬の選択などの治療法にも取り組んでいきます。

そして何より、さまざまなイノベーションによって日本の医療システムを改善していくこと。そのキーワードになるのが「早期診断、早期介入」と「患者さんにやさしい」です。

患者さんにやさしく、まだ病気になっていない人にもやさしい、病院にもやさしい、国民医療費の削減という点から社会にもやさしい。この「やさしい」という言葉を最大のキーワードにして、日本の医療に貢献していきたいと考えています。

コンテンツ

  • healthymagination day 2012レビュー
  • 社長インタビュー
  • ケア・エリア
  • プライマリ・ケア
  • ヘルスケアIT

INDEX

  • 肝臓疾患やアルツハイマー病など高齢化によって重要度を増す疾患領域に注力
  • 患者さんに、病院に、その地域に適切なソリューションを提供していく