COPD新ガイドラインの改訂ポイント

永井 はじめに、2009年に発表された『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン(第3版)』における主な改訂のポイントを整理したいと思います。今回の改訂では、COPDの定義を「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である」とし、タバコ煙の有害性が強調されました。亜型分類では、従来は気腫優位型と気道病変優位型に分類されていましたが、日常診療で実施可能な胸部CTによる分類が採用され、気腫型COPDと非気腫型COPDに変更されました。病期については、従来の軽症から最重症という分類を気流閉塞の強さにより軽度(I期)~極めて高度(IV期)に変更していますが、安定期の管理にあたって重要な点は、患者さんの気流閉塞の程度だけでなく、呼吸困難や運動能力の低下、増悪の頻度などの症状の程度を加味してCOPDの重症度を決定するということ、また、このように総合的な判断により決定した重症度に基づいて治療法を選択すべきであるということです。COPDは単なる肺局所の疾患ではなく、全身性の疾患です。全身の炎症とともに栄養障害や骨格筋機能障害、心・血管疾患、骨粗鬆症、抑うつなどの併存症がみられることがありますが、もちろん、こうした全身性の併存症以外にも肺癌や肺炎などの肺合併症にも注意が必要です。

 その他の改訂ポイントとしては、禁煙や患者教育、リハビリテーション、栄養指導などの非薬物療法の重要性や、病診連携の推進などがあげられます。

COPDの管理目標  気流閉塞に症状を加味して治療選択を

永井 COPD新ガイドラインにおける管理目標について、一ノ瀬先生にご解説をお願いします。

一ノ瀬 この数年間でいくつかの大規模臨床試験が実施されたことにより、COPDの病像はかなり明らかになってきました。その結果、新ガイドラインにおけるCOPDの管理目標には、従来のガイドラインでもふれていた「症状・運動耐容能の改善」、「QOLの改善」、「増悪の予防と治療」の3項目に、「疾患の進行抑制」、「全身併存症および肺合併症の予防と治療」、最終的な目標としての「生命予後の改善」という新たな3項目が加わりました。さまざまな治療選択肢を有する現在、この6項目はすべてが達成可能だと考えられます。ただ、それには治療法の選択が重要であり、その際にはFEV1だけに捉われず、全身の症状も勘案して治療を進めるという点が、新ガイドラインでうたわれている最も重要な部分だと思います。


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図1 安定期COPDの管理

永井 新ガイドラインにおける安定期COPDの管理図(図1)は、わかりにくいという印象を持つ先生方もいるのではないかと危惧しているのですが、どうでしょうか。

三浦 実地臨床でCOPDを診ているわれわれは、FEV1からだけでは重症度を推し量ることのできない症例を実際に経験しています。特に、気腫化が強く、労作時の低酸素血症が重度な症例では、閉塞性障害がそれほど強くなくても重症度が高いという印象を持っていますので、われわれ専門医としては、この図は現実に即した管理法を表していると思います。その反面、非専門医からみると、プライマリケアにおいて少し混乱するところもあるかもしれませんので、そこで病診連携の推進も重要になってくると思います。

永井 病期は気流閉塞の程度を示しますから、数値でわかりやすいのですが、呼吸困難、運動能力の低下、繰り返す増悪という症状の程度を重症度として捉える場合、どのように考えればよいでしょうか。

一ノ瀬 COPDの病態は複雑であり、呼吸困難には低酸素血症や換気血流比、肺拡散能など、多くの因子が関与しています。COPDの症状として最も多いのは労作時の呼吸困難なので、問診の上でも重要なポイントとなります。

 運動能力の低下は、閉塞性障害に呼吸困難を加味したような因子ですが、運動負荷試験は専門施設でないと行えませんので、一般の医院・診療所では万歩計による歩行距離の測定などで評価するとよいのではないでしょうか。

 繰り返す増悪は、重症度と関係なく存在する因子ですが、要因として過分泌があるといわれていますので、痰の有無やその状態が1つの判断基準になると思います。

永井 日常診療において入院を要するような増悪はよくわかると思いますが、COPDの軽度の増悪などはどの程度起こっているのでしょうか。

一ノ瀬 軽い増悪は必ずしも把握されていない場合が多いでしょう。患者さんもうまく外来で伝え切れていないので見逃されている可能性があります。喘息ではピークフローモニターを行いますが、COPDでもなんらかのモニターなど指標を用意して、患者さんの状態を把握する取り組みが必要であると考えます。

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