■知っておきたい「がんの検査」|がんの検査の流れ
 がんの診療では、がんの発見から診断、治療、治療後にいたるまで、さまざまな目的で、さまざまな検査が行われます。ここではがんの検査の基本的な流れを、大きく5つの段階にわけて説明していきます。
 
 

 検診は、特に自覚症状のない人が、がんを早期に発見することを目的として受ける検査で、「スクリーニング(ふるいにかける)検査」とも呼ばれます。

 一般にがん検診は「肺がん検診」「大腸がん検診」のように部位別に行われますが、PET/CTによるがん検診のように、一度にほぼ全身のがんを調べることのできるものもあります。この場合、例えば口腔がんや骨のがんなど、部位別のがん検診ではカバーしていない部位も含めて、がんの有無をチェックすることができます。

 検診では、がんでないのに「異常あり(がんの疑いあり)」の判定が出ることがあります。これを「偽陽性」と言います。ですから、検診で「異常あり」と言われても、必要以上に不安がらずに、精密検査を受けることが大切です。

※検診としてのPET/CT検査には、健康保険の適用は認められていません。

 

 がん検診で「異常あり」と判定された人は、それが本当にがんかどうかを調べるため、精密検査を受ける必要があります。また、検診を受けていなくても、「胃がむかつく」とか「血便が出る」など、気になる症状があって医療機関を訪ねた場合に、精密検査が行われることもあります。

 検査の結果、やはりがんが疑われる場合は、その部位の細胞や組織をとって、その中にがん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べます。これを病理検査と言います。がんの最終的な診断(確定診断)は、原則としてこの病理検査に基づいて行われます。

 

 病理検査を経てがんと診断されても、すぐに治療に入るわけではありません。「そのがんがどのくらい広がっているか」「他の臓器への転移(遠隔転移)はないか」を調べるための精密検査が続きます。がんの広がり具合や転移の有無により、最適な治療方法が違ってくるので、これはとても重要な検査です。

 検査内容は、CT検査やPET/CT検査、超音波検査、MRI検査などの画像診断が中心です。がんによって転移しやすい臓器があるので、その臓器を重点的に検査しますが、一方で予測できない場所にがんが転移することもあるため、全身をひと通り調べることもします。

 全身を診る検査としては、CT検査やPET/CT検査がありますが、どちらが選択されるかは、ケース・バイ・ケースです。CT検査に比べて、PET/CT検査は高額な検査なので、がんが比較的進行していて、転移の可能性が高い場合に、PET/CT検査が選ばれることが多いようです。仮に腫瘍があった場合、腫瘍の形や大きさを写し出すCT画像だけでは、それが良性のものか悪性のものか、見分けづらいことがありますが、PETの画像には、ブドウ糖を大量に消費する悪性の腫瘍(がん)だけが写るので、PETとCTを組み合わせたPET/CT検査を行うことで、より確実な診断が可能になるのです。

※がんの広がり、転移を調べるPET/CT検査については、2006年の保険改定以降、13種類のがん、悪性腫瘍に健康保険の適用が認められています。

 

 がんの治療には手術以外に、放射線や抗がん剤による治療もあります。それらの治療方法は、がんの種類や進行度、またその人の体質によって、その効果に差が出ます。そこで一定の治療を行ったら、どの程度がんに効き目があったかを確かめます。効果があればその治療法を続け、効果があまりなければ他の治療法を検討します。

 治療効果を確認するには、CT検査やMRI検査でがんの大きさが小さくなっているかどうかを診るのが一般的です。しかしがん細胞は大きさが縮小するより先に、ブドウ糖の消費が衰えるので、ブドウ糖代謝の様子を写し出すPET画像を見れば、より早い段階で治療効果を確認することができます。

 またがんの治療には、がん細胞の増殖を抑えることを目的としたものもあります。この場合はがん細胞は死なないので、腫瘍の大きさはあまり変わりませんが、やはりブドウ糖代謝は低下するので、PETによる治療効果判定が可能です。

※治療効果判定を目的とするPET/CT検査については、現在までのところ健康保険の適用は認められていません。

 

 治療がひと通り終了した後も、再発の有無を確認するための定期検査が行われます。どの程度の間隔で、治療後何年ぐらい受ける必要があるかは、がんの種類や進行度によって異なります。一般にはがんが進んでいた場合ほど、検査の間隔が短くなります。

 検査内容についても同様に、がんの種類や進行度で違ってきますが、がんは予測できない場所に再発することもあるので、再発のリスクが高い比較的進行したがんの場合には、全身を一度にチェックできるPET/CTを併用する意義は大きいと言われています。

※再発を調べるPET/CT検査については、2006年の保険改定以降、13種類のがん、悪性腫瘍に健康保険の適用が認められています。