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2007.07.02 日経ビジネス特別版「がんの診断と治療」より
 

 2006年4月にオープンした岡山画像診断センターは、ユニークな存在だ。岡山大学の関連施設であり、研究も行うという側面を持つが、岡山の財界と岡山県が「市民のために」とバックアップしている。
 国立大学法人化の影響で、高額の検査機器の導入を容易にできなくなった大学は多いが、岡山大学もその一つ。だが、PETやMRI、CTといった画像診断装置の有用性は、専門家ならずとも、理解している。そこで、地元の財界が出資して、SPC(スペシャル・パーパス・カンパニー)を設立。同社が銀行から融資を受けて、岡山大学の敷地に岡山画像診断センターを建設し、さまざまな画像診断装置を導入した。

 運営は、別に設立した医療法人が行い、岡山大学医学部放射線科出身の医師が診断に当たる。 導入した検査機器は、16列MD-CTを組み合わせたPETが2台、全身を検査できる1.5テスラのMRIが2台、64列のMD-CTが1台だ。PET/CTは分解能の高さ、MRIは画像のきれいさでシーメンス製を導入した。
 さらに、サイクロトロン(住友重機械工業製)とPET薬剤を合成するラボも設置して、患者の体重や検査スケジュールに合わせて薬剤を適切に使えるようにしている。
 「大学スタッフらと検討して、高度画像診断ができる機器を導入して施設に整えた。スタッフも医師、技師、看護師を専門のスタッフでそろえられた。」と、院長の加地充昌氏は胸を張る。放射線専門医(PET認定医)が合わせて3人、専門技師と看護師、それぞれ6人が合計5台の検査機器を駆使して、検査や診断に当たる。

 1日の検査数は、およそPETが15件、MRIが25件、CTが25件と、ほぼフル稼働だ。「特にPET検査はその数が増加傾向にある」(加地氏)。検査依頼は、岡山大学以外の病院、診療所からも寄せられる。これは、同センター開設から、関連医療機関にPET検査の有用性を啓蒙する活動が奏効した。現在も、開業医との会合を持って、同様の説明を続けている。
 このように、保険診療の検査が主体となっているため、がん検診は全体の1割程度になっている。 「検診では、PET/CTの検査だけで、およそ550例中11例のがんを見つけました。発見率は2%です」(加地氏)

高速ネットワークで他病院と連携

「県からは、行政が使う情報ハイウエイ(高速通信回線)の提供を受けています。秘守性を備えた高速通信環境を利用して、岡山大学に検査結果を送れるので、即時性も高い。また、民間の医療機関からも、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)で、情報漏洩を防ぎながら、オーダーを受けています。こうして利便性を高めていることも、検査数の増加に関係していると思います」と、加地氏は県が提供する通信ネットワークのサポート効果を認める。同センターでは、この高速通信ネットワークを使って、医用画像の遠隔診断も行っている。

 同センターのモットーは、「患者さんに快適に検査を受けてもらい、安心して頼られる施設」(加地氏)。修練度が高いスタッフが患者に与える安心感だけでなく、希望があれば、検査結果を患者が自分で見られるように、ビューワーソフト付きで提供する。「PET検査の結果なら、がんがだんだん小さくなっている様子や、なくなっていることが、患者さんでも一目瞭然。患者さん自身が自分のパソコンで見て納得されているようです」(加地氏)。

画像技術部長・診療放射線技師長の有岡匡氏は、「診断に特化した医療機関なので、目的意識が明確です。大きな病院ではできにくい、ホスピタリティーの高い施設を目指して、スタッフ一同、がんばっています」と、意気込みを語る。