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2007.07.02 日経ビジネス特別版「がんの診断と治療」より
 

 くすの木病院では2005年12月、敷地内にPETセンターを新築し、県内で初めてPET/CT装置を導入した。地域医療の中心的な存在として、病院開設当初から核医学診断を取り入れてきた同病院にとって、これはごく自然な流れだった。  機種は、GEメディカルシステムズの「Discovery ST」。感度が良く、放射線量の少ないPET薬剤でも、質の良い画像が得られるというのが採用理由だ。放射線量が抑えられれば、それだけ受診者の被爆を軽減することができる。
 PET薬剤についてはデリバリーシステムを利用している。日に3回、PET薬剤が配送されるタイミングに合わせて検査が行われる。1回の検査枠に最大3名、1日9名の受け入れが可能だ。
 現在の検査実績は一カ月に100〜120件ほど。うち8割はがんの精密検査で、2割はがん検診だ。診断は副院長の神尾政志氏を中心に、群馬大学医学部附属病院の核医学の専門医師3人が交代で受け持っている。

受診者の安全性、快的性を重視

 同センターでは、PET/CTを用いたがん検診として、日帰りで受けられる「スタンダードコース」(13万円)と、1泊2日の「エグゼクティブコース」(18万円)を設けている。同センターの特長は「受診者がリラックスして検査が受けられる」(事務長の星野一久氏)こと。1回の検査枠の人数を3名までとしているのも、受診者を待たせないようにとの配慮からだ。
 施設の設計にも工夫が見られる。検査前の待機室と検査後の回復室を別々に設けることで、検査開始から終了まで受診者同士が顔を合わせることはほとんどない。これにより受診者間の被爆が軽減できると同時に、プライバシーも守られる。このほかPET検査では撮影の際、20〜30分検査台に横たわっていなければならないが、受診者にできる限り閉塞感を与えないよう、検査室にはあえて空間的なゆとりを持たせてある。

地域内でPET/CTの有効利用を目指す

 がんの精密検査としては、再発診断のほか、術前の病期診断、良・悪性の鑑別診断にPET/CTが利用されることが多い。全体の9割以上は、近隣の病院やクリニックからの紹介だ。施設数ではセンター開設以来およそ1年半で、67施設からの依頼を受けている。
 くすの木病院では周辺の医療機関を対象に、さまざまな形でPET/CTの有用性を説いてきた。院外からの検査依頼が多いのは、その成果の表れだろう。昨年9月からは月に一度「PETタイムス」の発行も始めた。がん診療に携わる医師にとって最も関心があるのは、自分が専門とするがんに、PET/CTはどう役に立つのかということ。「PETタイムス」では毎号1種類のがんを取り上げ、症例やデータを盛り込みながら、PET/CTの有用性を具体的に解説。該当する診療科の医師に、センターから直接郵送している。地元医師らの理解をさらに深め、PET/CTを必要とするすべての人に、有効に活用してほしいという。