■コラム&インタビュー 一覧|治療法
2007.07.02 日経ビジネス特別版「がんの診断と治療」より
 

 明石市立市民病院(398床)は、兵庫県立がんセンターとは目と鼻の先の場所にあるものの、胃や大腸といった消化器がんの患者を中心に、診療所などから紹介されてくる。急性期の疾病だけでなくがん治療も数多く行っている病院だ。外科部長の満尾学氏のところにも、さまざまながん患者が受診する。
 「外科を訪ねてくるのは、がんの疑いがあるという紹介状を持った患者さん。手術後に再発の有無や新規のがん発生などを調べるために、PET検査を依頼します」
 満尾氏は、早くからPET検査の有効性に着目し、西から訪れる患者は姫路市の、東からの場合は神戸市のPET検査施設に依頼していた。だが、2年前に近隣の兵庫県立がんセンターにPET/CTが入ってからは、患者が行きやすい検査施設という視点で選び、同センターに依頼する機会が圧倒的に増えた。

 「がんセンターに依頼すると、1週間から10日以内に検査してもらえる。待たずに検査してもらえるのがいいですね。また、検査結果のレポートも患者さんが検査画像持参で来院するより早く届くので、事前にいろいろと準備できるのもありがたいです」と、満尾氏。 同センターの参事(医療連携担当)兼放射線科部長である足立秀治氏は、「ここでは、1日に9件弱のPET検査を行っています。がん診療連携拠点病院として病病連携枠を用意しているので、他施設の依頼は全PET検査の2割を超えていますが、待たせることがないような仕組みになっています」と説明する。

PETで絞ってCTで精密診断

 満尾氏がPET検査の依頼をするのは、月に1〜2人ほど。「CTの検査は1万円程度。これに対してPET検査は3万円と高い。患者の経済的な負担を考えると、むやみに行わず、本当に必要な場合に絞ってPET検査の依頼をしています」。
 では、どんなケースなら満尾氏がPET検査を依頼するのか?「62歳の男性のケースですが、CTの検査を行ったところ、肺の影が大きくなったり、小さくなったりと変化していました。腫瘍マーカーも動かなかったので、感染症も疑いましたが、どうしてもがんの可能性を捨てきれない。そこで、PET検査を行ったところ、強い集積が見られたので摘出して肺転移を確認し、がんの治療を開始できました」。

 また、10年前に乳がんにかかった62歳の女性の例では、「腫瘍マーカーの値が上がったので、がんの疑いがかかりました。ですが、乳がんの場合、遠く離れた場所にも転移する可能性が高いので、PET検査で全身を調べることにしました」。この検査の結果、乳房から離れた大腸付近にがんがあることが分かり、内視鏡を入れて確認してみたが、この検査では、がんを見つけられなかった。満尾氏は、PET検査の結果を否定せず、CTとMRIで、疑いのある部位を精密に検査して、小腸にがんを見つけた。「これは、PETとCT、MRIの長所をうまく生かしあった好例ですね」と振り返る。

 満尾氏は、近隣の4病院の医師で構成する勉強会にも参加している。「この会でも、PET検査の利用方法や結果の見方が話題に上ることがある」と言う。