■PET画像診断フォーラムについて|PET画像診断フォーラム開催報告第7回
第7回PET画像診断フォーラム
 
さる9月28日、鹿児島においてPET画像診断フォーラムの第7回会議が開催された。2005年の活動開始以来、3年が経過した今回の会議では、一般市民向けの啓蒙、PET検査の専門医向けの情報発信での成果が確認された。今後の活動については、まだPET検査の有用性の認知が不十分である、がん診療医に向けた情報発信に力を入れていく必要性を確認した。

 PET画像診断フォーラム会長・鳥塚莞爾氏は、開会の言葉として活動を開始した2005年からこれまでのフォーラム活動を振り返った。
 「このフォーラムは発足して3年になりますが、その間、PET検査の普及を目的として、フォーラムのメンバーのみなさまからいろいろご意見をいただき、また原稿などを書いていただきました。ことに一般市民の方々にPET検査の情報をいろいろと知らせるという面で、一応の成果は挙げたと思っております。本日は、今後のフォーラムのあり方について、メンバーのみなさまから意見をいただければと思います」
 会議は、まずPET検査の現状についての報告から始まった。
 PET検査の保険適用については、鳥塚氏が説明した。
 「PET検査によるがん診断は、現在13種類のがん疾患が保険適用になっていますが、まだ認められていないものもあります。すべての悪性腫瘍(がん、肉腫)に対して、病期判定のための診断、治療後の効果判定のために行うPET検査に保険が適用されるよう厚生労働省に働きかけています」

 
保険による検査は増えるが
PET検査施設の偏在が課題
 続いて、実際のPET検査数について、メンバーから報告された。いずれの施設でも検査数は増加傾向にあるが、自由診療のがん健診に対して、保険適用による検査の比率が高まっている。これは、がん患者の診断と治療においてPET検査の有用性を認めるがんの診療医の増加を示すものと言える。
 また、特に検査数が増えたPET検査施設では、放射線治療との連携を重視していた。放射線治療は治療装置などの進歩で、効果の高い治療をしかも安全に行えるようになってきた。患部にだけ集中して放射線を当てられるようになったからである。この時、患部はCT検査で確認していたが、これをPET/CT検査に変えることで、よりよい治療が行えるという意見もでた。
 新たに医師会員に加わった北海道大学大学院医学研究科核医学分野教授の玉木長良氏は「PET検査は診断だけではなく、治療の戦略作りに役立つ検査という方向に進んで行くべきだと思います。こうすることで新しい応用の道が開けるはず」と、がん治療との連携の必要性を強調した。
 PET検査が行える医療機関は、現在230以上となっている。ただし、その分布を見ると、過密地域があったり、極端に少ないところもあり、偏在の傾向が見られる。どこに住んでいても同様な医療サービスを受けられるようにするためには、この状況を改善していく必要がある。
 検査施設を新設しても、PET検査の結果を診断する核医学の専門医がいなければ機能しない。この専門医を増やすことも重要な課題である。
 もう1人、新たに医師会員に加わった、浜松医科大学特任教授の鳥塚達郎氏は、これに対して次のように語った。
 「2007年11月から所属している浜松医大では、学生の臨床研修などを担当しています。彼らにPET検査の有用性を伝えて、この分野の専門医をどんどん増やしていくこともPET検査普及への一歩だと思っています」
 
がんに必須の検査として
医師の認知度を高める
 今後のフォーラムの活動に関する議題では、セントラルCIクリニック院長の塚本江利子氏が口火を切った。
 「フォーラムでは、一般の方々を対象とした市民公開講座や、PET検査の専門医に対するセミナーなどを行っていますが、PET検査の有用性にまだ気づいていないがん診療医向けの活動にももっと力を入れて欲しいと思います。PET検査そのものの理解を深める情報発信のほか、PET検査を行っている施設のリストや保険適用の情報などを配布することで、多くのがん患者さんがPET検査を受けやすくなるはずです」
 医師が病気の診断や治療をする場合、その指針を示した「ガイドライン」に従う。玉木氏は、米国では、悪性リンパ腫に関して治療効果を診るためにPET検査を行うことを定めたガイドラインができていることを紹介した。これを受けて、厚地記念クリニックPET画像診断センター院長の陣之内正史氏から、「日本でも、それぞれのがんのガイドラインにPET検査の実施を入れるよう働きかけては」という提案が出された。
 さらに陣之内氏は、「PET検査施設が少ない地方にも、PET検査でがんの存在を確かめたい人、PET検査を受けるべきがん患者がたくさんいるはずです。そういった方々がPET検査を受けやすくなるような環境づくりや情報発信も必要でしょう」と続けた。
 兵庫県のがん診療連携拠点病院でがん診療連携協議会の幹事長として活動している足立秀治氏はこの問題提起に対して、次のように発言した。
 「私は医師会の会合にも出ていますが、例えば医師会の生涯教育などで、PET検査をテーマとして取り上げていただくとよいでしょう。がん診療連携協議会でも、研修会やセミナーを行っていますので、この場を利用することも可能です。PET検査の検査料は高いと考えている医師も多いですが、ほかの検査を割愛できるとか、PET検査の費用対効果を高める方法を啓蒙していくことは非常に重要だと思います」
 第7回のPET画像診断フォーラム会議では、がん患者がPET検査を受けやすくなる環境を作るために、特にがんの診療医に対する働きかけに力を入れていくことを確認して閉会した。
 
 
PET画像診断フォーラム・メンバー  

前列左から、
● 武田病院画像診断センター長 林田孝平氏
● 横浜市立大学医学部放射線科教授 井上登美夫氏
● 会長 京都大学名誉教授 鳥塚莞爾氏
● 獨協医科大学教授・PETセンター長 村上康二氏
● 兵庫医科大学病院 臨床核医学臨床教授 柏木 徹氏
後列左から、
● 日本医科大学放射線科講師 高木 亮氏
● 日本医科大学健診医療センター所長 石原圭一氏
● セントラルCIクリニック院長 塚本江利子氏
● 京都大学医学部附属病院放射線診断科助教 中本裕士氏
● 済生会中津病院PETセンター長 岡村光英氏
● 兵庫県立がんセンター参事・放射線科部長 足立秀治氏
● 厚地記念クリニック院長 陣之内正史氏

● 東天満クリニック院長
松村 要氏
● ユトレヒト大学准教授
高原太郎氏
● 北海道大学大学院医学研究科核医学分野 教授
玉木長良氏
● 浜松医科大学 特任教授
鳥塚達郎氏
PET画像診断フォーラム・サポート企業

● GE横河メディカルシステム株式会社
● 東芝メディカルシステムズ株式会社
● 株式会社島津製作所
● 日本メジフィジックス株式会社
● シーメンス旭メディテック株式会社
● 株式会社日立メディコ
● 住友重機械工業株式会社