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2011/7/26

無料の訪問授業「生きるの教室/ドクター中川のがんと向き合う」今秋開講へ

訪問を希望する中学校を全国から募集中

伊藤左知子=医療ライター

 中学校を対象とした訪問授業「生きるの教室」が、バイエル薬品の主催で今秋にスタートする。初年度となる今年は、がん教育がテーマで、がん教育に先駆的に取り組んでいる東京大学医学部附属病院放射線科准教授で緩和ケア診療部長の中川恵一氏が講師を務める。現在、訪問を希望する中学校を全国から募集している。


人生には選択が必要なときがある。がんについても同様。しかし、選択するためには十分な知識がなければならない」と語るバイエル薬品代表取締役社長のセバスチャン・グート氏。

 日本の未来を担う子どもたちに、病気の予防と治療の啓発を通じて、生きることの意義をより深めてもらいたいという思いから生まれた「生きるの教室」。バイエル薬品が「日本のバイエル100周年企画」の一環として企画したもので、初年度となる今年はがん教育がテーマだ。同企画を発表する記者会見が7月12日に都内で開催された。

 日本人の2人に1人は生涯に1度はがんになり、3人に1人はがんで亡くなっている。こうした現状にもかかわらず、国民の多くは、がんに対する知識に乏しいのが現実だ。国民病とも言われるがんに備えるためには、次世代を担う子どもたちに対して、がん予防のための生活習慣、検診の重要性、最適な治療の選択に関する知識を伝えていくことが必要だ。

 「がんは日本人死亡率の1位であるにもかかわらず、日本の学校教育ではほとんど教えられていない。これまで最も欠けていた、がん教育に取り組むことはとても重要だ」。同教室の講師を務める東京大学医学部附属病院放射線科准教授で緩和ケア診療部長の中川恵一氏は、記者会見に登壇し、特別授業の意義について強調した。

 バイエル薬品代表取締役社長のセバスチャン・グート氏は「生きるの教室」を主催する理由について、「人生には選択が必要なときがある。がんについても同様。しかし、選択するためには十分な知識がなければならない」と述べた。

「これまで最も欠けていた、がん教育に取り組むことはとても重要だ」と語る東京大学医学部附属病院放射線科准教授で緩和ケア診療部長の中川恵一氏。

 中川氏もグート氏の意見に賛同し、「がんは交通事故と違って、がん検診を受けるという行動の選択によって、早期発見・早期治療で死を避けられる可能性がある。にもかかわらず、日本人はがん教育を受けていないため、損をしている」と指摘。

 損をしている例として、乳がん検診を挙げ、「乳がんが1cmになるには15年かかるが、1cmから2cmになるのには1.5年ほどしかかからない。検診では1cm以上にならないとがんは発見できないので、1cmからの1.5年の間が早期乳がん発見のチャンスとなる。だから、毎年の検診が重要だ」と解説し、がんの知識を得ることで検診の意味を理解することができ、それによって受診につながると述べた。

 わが国は、諸外国に比べ検診の受診率が非常に低いが(図1)、これはがん教育を受けていないためというわけだ。

図1 諸外国に比べ非常に低いわが国の検診受診率

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